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三菱重工 中期経営計画(2024事業計画)(2024/5/28発表分)

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出典:https://www.mhi.com/jp/finance/library/plan/pdf/240528presentation.pdf

  1. ミッションと目指す社会: 三菱重工業は、技術革新を通じて社会課題の解決に貢献し、安全・安心・快適な社会の実現を目指しています。
  2. 21事計の振り返り: 収益力の強化と成長領域の開拓を進め、財務基盤を強固にしました。
  3. 外部環境と果たすべき役割: 脱炭素化への貢献や国家安全保障への対応が求められています。
  4. 方針と目標: 事業成長と収益力強化を図り、売上5.7兆円以上、ROE12%以上を目指します。また、MISSION NET ZEROを推進し、技術・人的基盤を強化します。
  5. 具体的施策:
    • 成長事業(GTCC、原子力、防衛など)の着実な遂行
    • 成長領域(水素、アンモニア、CCUS、電化・データセンター)の事業化推進
    • 事業競争力の強化(顧客接点の強化、DX推進など)
  6. 技術・人的基盤の強化: デジタル技術の活用や人材育成の強化により、事業の競争力を高めます。
  7. MISSION NET ZEROの推進: CO2排出削減に向けた取り組みを加速し、カーボンニュートラルを目指します。

全体として、三菱重工業は持続可能な成長と脱炭素社会の実現に向けた戦略を掲げており、これを支えるための技術開発や人材育成にも注力しています。

  • 収益力は改善傾向。売上上昇、事業利益上昇、純有利子負債減少
  • 脱炭素化への貢献と国家安全保障への貢献
  • 収益力のさらなる強化に加え、NET Zeroを目指す

・GTCC、原子力、防衛への注力

・1.2兆円を投資

・トップシェアであるGTCCのシェアをさらに拡大。将来の水素/アンモニア焚き転換に向けた他社に先駆けた実証

※本当にトップシェアかは対象によって異なるだろうが、以下に大手3社とその特長を整理

1. General Electric (GE)

  • 技術的特徴: GEのGTCCシステムは、高効率なガスタービン技術に定評があります。特に「HA」シリーズ(例: GE 9HA)は、業界で最も高効率とされるガスタービンの一つです。GEは、効率的な発電を実現するために先進の材料と冷却技術を駆使しています。
  • プロジェクト実績: GEは、特にアメリカや中東で多くのGTCCプロジェクトを手がけており、大規模な発電所に対応しています。世界中に広がるサービスネットワークとサポート体制も強みです。
  • 市場アプローチ: GEは、世界中で幅広い分野の発電所に対応する一方で、デジタルツイン技術やデータ解析による運転最適化にも力を入れています。

2. Siemens

  • 技術的特徴: SiemensのGTCCシステムは、特に「SGT-8000H」シリーズなどが知られており、高効率と高出力を実現しています。Siemensは、高温超電導材料や先進的な冷却技術を使って、より高い効率と信頼性を提供しています。
  • プロジェクト実績: Siemensは、ヨーロッパやアジア市場での実績が豊富です。特に高効率で低排出の発電ソリューションを提供しており、環境規制の厳しい地域でのプロジェクトにも対応しています。
  • 市場アプローチ: Siemensは、デジタル化や自動化の分野に力を入れており、発電所の運転管理やメンテナンスを高度に効率化する技術を提供しています。

3. Mitsubishi Power

  • 技術的特徴: Mitsubishi Power(旧三菱重工業)は、特に「J-series」ガスタービンで知られています。これらは高出力と高効率を実現し、厳しい環境条件下でも安定して運転できることが特長です。
  • プロジェクト実績: Mitsubishi Powerは、アジア市場や日本国内での実績が豊富で、特に高効率な発電ソリューションとともに、地域特有のニーズに応じたカスタマイズにも対応しています。
  • 市場アプローチ: Mitsubishi Powerは、特に日本やアジア地域での地元企業との連携を強化しており、地域特有の要求に応じた技術提供を行っています。また、環境対応型技術や次世代エネルギー技術の開発にも取り組んでいます。

現状

三菱重工は、日本政府の「原子力活用推進」という方針を背景に、原子力事業の拡大に取り組んでいます。具体的には、加圧水型原子炉(PWR)や沸騰水型原子炉(BWR)の再稼働や燃料サイクルの確立、長期安定運転に向けた保全工事を推進しています。また、革新軽水炉(SRZ-1200®)の設計や、高速炉及び高温ガス炉の実証炉開発にも注力しています。

市場シェア

日本国内市場: 日本国内では、三菱重工は主要な原子力機器サプライヤーの一つであり、加圧水型原子炉(PWR)市場で特に強い影響力を持っています。日本の原子力発電所で使用されているPWRの多くは、三菱重工が製造したものであり、国内市場シェアの大部分を占めています。

海外市場:

  • フランス: フランス電力(EDF)向けに原子力発電所用の蒸気発生器(SG)を納品するなど、三菱重工はフランスの原子力市場にも関与しています。具体的な市場シェアの数値は公開されていませんが、EDFからの受注により、一定のシェアを保持していることが示唆されています。
  • グローバル市場: 三菱重工は、グローバルな原子力市場においてもプレゼンスを持っており、特にアジアや欧州での活動が知られています。しかし、他の大手競合企業(例えば、アメリカのウェスティングハウス、フランスのフラマトムなど)と比べて、全体の市場シェアに関する詳細な数値はあまり公開されていません。

EDFの影響力と存在感

  • 運営する原子炉の数: EDFは、フランス国内で56基の原子炉を運転しており、これによりフランスの電力の約70%を供給しています。このことから、EDFはフランス国内で圧倒的なシェアを持っています。
  • 国際的なプレゼンス: EDFはフランス国外でも原子力発電所の運営や管理に関与しています。たとえば、EDFはイギリスにおいても原子力発電所を運営しており、新規原発の建設にも関与しています。

世界の原子力発電市場におけるEDFのシェア

EDFの市場シェアを具体的に数値で表すことは難しいですが、以下のような指標がEDFの影響力を示しています。

  • 運営する原子炉の総発電容量: EDFは、世界で運転されている約440基の原子炉の中で、フランスの56基を運営しているため、全体の原子炉の数の約12.7%を占めます。
  • 世界の原子力発電容量: EDFは、フランス国内に加えてイギリスやその他の国々で原子力発電所を運営しており、これにより世界の原子力発電容量に大きく貢献しています。

水素事業

  • プロジェクト参画: 三菱重工は、米国ユタ州の「Advanced Clean Energy Storage」プロジェクトに参画しており、このプロジェクトでは100トン/日のグリーン水素を製造し、地下に貯蔵してガスタービン発電所へ供給する計画です。2024年春には、水素混焼発電を開始する予定です。
  • 技術開発: 同社は、高効率水素製造技術である固体酸化物水蒸気電解(SOEC)のデモ機を2024年春に稼働させる計画です。また、高砂水素パークでは、大型機種JAC形による水素30%の混焼運転に成功し、中小型機種H-25形での水素100%専焼試験も開始しました。
  • バリューチェーン構築: 水素の製造、貯蔵、供給の各段階において、三菱重工は技術開発とパートナーシップを通じてバリューチェーンの構築を進めています。米国水素ハブやシンガポールでのアンモニアバンカリングプロジェクトなど、各国でのプロジェクトにも積極的に参画しています。

アンモニア事業

  • 燃焼技術の開発: 三菱重工は、アンモニアを燃料とするガスタービンの開発を進めています。アンモニアは燃焼時にCO2を排出しないため、次世代のクリーンエネルギーとして注目されています。
  • バンカリングプロジェクト: シンガポールでの世界初のアンモニアバンカリングプロジェクトにおいて、三菱重工は重要な役割を果たしています。2022年にこのプロジェクト実現に向けた覚書を締結し、プロジェクトを具体化しています。

取り組みの目的と意義

  • 脱炭素社会の実現: 三菱重工の水素・アンモニア事業は、脱炭素社会の実現を目指すための重要な柱となっています。特に、水素やアンモニアを利用したエネルギーシステムは、将来的にCO2排出削減に大きく貢献する可能性があります。
  • 国際的な協力とパートナーシップ: 各国政府や企業とのパートナーシップを強化し、国際的なプロジェクトに参加することで、技術と市場の拡大を図っています。

CCUS事業の背景と目的

  • 気候変動対策: CCUSは、産業プロセスや発電所から排出される二酸化炭素(CO2)を回収し、貯留または利用する技術です。三菱重工は、CCUSを通じてCO2排出量を削減し、気候変動対策に貢献することを目指しています。

主要な取り組みと技術

  • CO2回収技術の開発: 三菱重工は、新たなCO2吸収液の開発や、中小型CO2回収装置「CO₂MPACT™」、液化CO2輸送船、CO2コンプレッサなど、CCUSに必要なコア技術や製品を開発しています。また、これらの技術を基に、バリューチェーンの構築を進めています。
  • パートナリングとプロジェクト参画: 三菱重工は、米国のエネルギー省が支援するプロジェクトや英国のCCUSハブ&クラスターなど、先進的なCCUSプロジェクトに参画しています。また、ExxonMobil社とのアライアンスを通じて、地域ごとにライセンシーと協力し、CCSソリューション体制を整えています。
  • 次世代技術の開発: 競争力強化に向けた次世代CO2回収技術の開発や、遠隔監視等のサービス基盤の構築にも取り組んでいます。これにより、より効率的かつ持続可能なCCUSソリューションを提供することを目指しています。

具体的なプロジェクト

  • 地域連携でのCCU実証プロジェクト: 横浜市や東京ガスグループと連携し、横浜市のごみ焼却工場で発電時に創出されたCO2を再生可能エネルギーを用いて回収し、メタネーションに利用する国内初のCCU実証プロジェクトを開始しました。
  • JOGMEC公募事業への参画: 「日本海側東北地方CCS構想」として、7社共同で提案したCCS事業が採択され、国内のCCS事業の実現に向けて本格始動しました。

事業の展望

三菱重工は、CCUS技術を核に国内外でのプロジェクトを推進し、将来的にはより大規模なCCUSインフラの構築を目指しています。また、国際的な規模でのパートナリングを強化し、CCUS技術の普及を図ることで、脱炭素社会の実現に貢献しようとしています。


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