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Sustainability(持続可能性)に関心のあるRyuのブログ


総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会(第66回会合)


出典:https://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/2024/066/

資源エネルギー庁が2024年12月に発行した「シナリオ分析について」では、2040年度のエネルギーミックスに関する検討方針が示されています。

背景: ウクライナ侵略以降、エネルギー価格の高騰や化石燃料供給の不安定性が顕著となり、各国の脱炭素化の進捗状況にもばらつきが生じています。また、再生可能エネルギーや原子力、水素などへの投資が進む一方で、2050年のネットゼロ実現にはさらなる技術革新が必要とされています。

シナリオ分析の目的: 2040年度のエネルギー需給を予測するにあたり、単一の前提条件に基づくのではなく、複数のシナリオを設定し、多様な不確実性に対応できる柔軟な戦略を策定することを目指しています。

専門機関への依頼内容: 専門機関に対し、以下の条件を満たすシナリオ分析を依頼しています。

  1. 温室効果ガス削減水準: 2030年度46%削減から2050年ネットゼロへの直線的な削減トレンドを含めること。
  2. S+3Eの確保: 安全性(Safety)、安定供給(Energy Security)、経済効率性(Economic Efficiency)、環境適合(Environment)のバランスを維持すること。
  3. 経済活動の維持: 脱炭素化と経済成長の同時実現を図ること。
  4. 諸元の設定: 政府の審議会での議論と整合性を持たせること。
  5. 技術・コストの分岐点: 再生可能エネルギー、水素、CCS(炭素回収・貯留)などの技術進展とコストに着目し、複数のシナリオを設定すること。

複数シナリオの設定: 技術進展の程度に応じて、以下のシナリオを設定しています。

  1. 革新技術拡大シナリオ: 幅広い革新技術の導入拡大とコスト低減が進展するケース。
  2. 再エネ拡大シナリオ: 再生可能エネルギーの導入量が拡大するケース。
  3. 水素・新燃料活用シナリオ: 水素やアンモニアなどの新燃料の活用が拡大するケース。
  4. CCS活用シナリオ: CCSの活用が拡大するケース。
  5. 技術進展停滞シナリオ: 技術進展が十分に進まず、既存技術の導入拡大にとどまるケース。

今後の展望: これらのシナリオ分析を通じて、2040年度のエネルギー需給構造を多角的に検討し、エネルギーの安定供給、経済成長、脱炭素化を同時に実現する戦略を策定していく方針です。

資源エネルギー庁が2024年12月に発行した「次期エネルギー基本計画の骨格(案)」では、福島第一原子力発電所事故後の取り組みや、第6次エネルギー基本計画以降の状況変化を踏まえ、2040年に向けたエネルギー政策の方向性が示されています。

主な内容:

  1. 福島復興への取り組み:
    • 福島第一原発事故後の復興状況と、今後の復興施策について詳述しています。
  2. 第6次計画以降の状況変化:
    • ロシアによるウクライナ侵略など、経済安全保障上の課題の高まり。
    • 気候変動対策の継続と、多様な対応策の必要性。
    • エネルギー政策と産業政策の連携強化。
    • デジタルトランスフォーメーション(DX)やグリーントランスフォーメーション(GX)の進展に伴う電力需要増加の可能性。
  3. エネルギー政策の基本視点(S+3E):
    • 安全性(Safety)、安定供給(Energy Security)、経済効率性(Economic Efficiency)、環境適合性(Environment)のバランスを重視した政策展開。
  4. 2040年に向けた政策の方向性:
    • 需要側の省エネ・非化石エネルギーへの転換促進。
    • 再生可能エネルギーの導入拡大と電力系統の整備。
    • 原子力発電の位置づけと安全対策。
    • 火力発電の脱炭素化戦略。
    • 次世代エネルギー(例: 水素、アンモニア)の確保と供給体制の構築。
    • 化石資源の安定供給と備蓄戦略。
    • 二酸化炭素回収・利用・貯留(CCUS)の推進。
    • 重要鉱物資源の確保策。
    • エネルギーシステム改革の推進。
    • 国際協力と協調の強化。
  5. 2050年ネットゼロに向けたイノベーション:
    • 技術革新の推進と、それに伴う具体的な取り組み。
  6. 国民とのコミュニケーション:
    • エネルギー政策に関する国民理解の促進。
    • 政策立案プロセスの透明性確保と、双方向的なコミュニケーションの推進。

この骨格案は、2040年に向けた日本のエネルギー政策の基本的な方向性を示しており、持続可能なエネルギー供給体制の構築を目指しています。

国立環境研究所 AIMプロジェクトチームが2024年12月3日に発行した「2050年脱炭素社会実現に向けた排出経路分析」では、2050年までの温室効果ガス(GHG)排出量削減に向けたシナリオ分析が行われています。

主な内容:

  1. 分析の目的:
    • 2030年以降のエネルギーミックスを検討するため、複数のシナリオを設定し、2050年のGHGネットゼロ実現に向けた排出削減対策や投資額を推計しています。
  2. 使用モデル:
    • 応用一般均衡モデル(AIM/CGE)や技術選択モデル(AIM/Enduse Ver1.0)などを組み合わせ、エネルギー需給構造やCO2排出量を算定しています。
  3. シナリオ設定:
    • 脱炭素技術進展シナリオ: 2030年まで計画通りに技術が普及し、その後も同程度の進展を想定。
    • 革新的技術普及+社会変容シナリオ: 2030年以降に革新的技術が大規模に展開し、デジタル化や循環経済の進展による社会変容も考慮。
  4. マクロフレームの想定:
    • 人口減少や経済成長率を考慮し、各部門(家庭、業務、産業、運輸)の将来予測を行っています。
  5. 社会変容の影響:
    • デジタル化や循環経済の進展により、鉄鋼やセメント、紙などの需要が減少し、エネルギー消費量の低減が期待されています。
  6. GHG排出量の推計:
    • 革新的技術と社会変容を組み合わせたシナリオでは、2050年にGHGネットゼロを達成する可能性が示唆されています。

この分析は、2050年の脱炭素社会実現に向けた具体的な道筋を示すものであり、今後のエネルギー政策策定において重要な指針となることが期待されています。

(公財)地球環境産業技術研究機構(RITE)が2024年12月3日に発行した「2050年カーボンニュートラルに向けた我が国のエネルギー需給分析」では、日本のエネルギー需給と温室効果ガス(GHG)排出量の将来シナリオを詳細に分析しています。

主な内容:

  1. 分析モデルと手法:
    • DNE21+モデル: 世界全体のエネルギーシステムとGHG排出を評価する線形計画モデルで、エネルギー供給、需要、技術導入、コストを詳細にシミュレーションします。
    • DEARSモデル: トップダウン型の経済モジュールとボトムアップ型のエネルギーシステムモジュールを統合し、世界全体の消費効用を最大化する動的非線形最適化モデルです。
  2. シナリオ設定:
    • 成長実現シナリオ: 排出削減対策が広範に進展し、国際的な協調も順調で、日本の温暖化対策技術が海外にも普及するケース。
    • 再エネシナリオ: 再生可能エネルギーの社会的制約が小さく、コスト低減が加速するケース。
    • 水素系燃料シナリオ: 水素や合成燃料のコスト低減が加速するケース。
    • CCSシナリオ: 二酸化炭素回収・貯留(CCS)の社会的障壁が小さく、広範に普及するケース。
    • 排出上振れリスクシナリオ: 技術進展が想定より遅れ、再エネ、CCS、水素、原子力などの普及が抑制されるケース。
  3. GHG排出削減目標:
    • 2030年に2013年比で46%削減、2040年に73%削減、2050年にネットゼロを目指すとしています。
  4. 経済影響の評価:
    • 各シナリオにおけるエネルギー需給バランスや経済成長への影響を詳細に分析し、技術進展や国際協調の重要性を強調しています。

この報告書は、2050年のカーボンニュートラル実現に向けた日本のエネルギー政策策定において、科学的根拠と具体的な道筋を提供するものです。

地球環境戦略研究機関(IGES)が2024年12月3日に発行した「IGESシナリオ分析概要」では、2050年のカーボンニュートラル達成に向けた日本の温室効果ガス(GHG)排出削減シナリオを分析しています。

主な内容:

  1. 分析の目的:
    • 2050年までにGHG排出量をネットゼロにするための道筋を探ることを目的とし、直線的削減シナリオと早期削減シナリオの2つを設定しています。
  2. シナリオの概要:
    • 直線的削減シナリオ: 2050年までにGHG排出量を直線的に削減するシナリオ。
    • 早期削減シナリオ: 社会経済の変化や技術の早期大量導入を通じて、2050年までの累積GHG排出量を1.5℃目標に適合させるシナリオ。
  3. 社会経済の変化:
    • デジタルトランスフォーメーション(DX)や循環経済の進展により、産業や生活様式が変化し、エネルギー消費やGHG排出に影響を与えるとしています。
  4. 技術導入の想定:
    • 電化の推進、再生可能エネルギーの最大限導入、水素利用の拡大、二酸化炭素回収・貯留(CCS)の活用など、さまざまな技術の導入量をシナリオごとに設定しています。
  5. エネルギー消費量と電力需要の推計:
    • 早期削減シナリオでは、省エネや電化の効果に加え、社会経済の変化により、2050年の最終エネルギー消費量が現状より38%減少すると推計しています。
  6. 電力系統シミュレーション:
    • 再生可能エネルギーの優先的な電力供給や、電気自動車(EV)の蓄電池を活用した電力系統の安定化などを想定し、電力需給バランスを検証しています。

この報告書は、2050年のカーボンニュートラル実現に向けた具体的なシナリオを提示し、エネルギー政策の策定に資するものとなっています。

デロイトトーマツコンサルティング合同会社が2024年12月3日に発行した「2040年エネルギーミックスの検討」では、2050年のカーボンニュートラル達成を見据え、2040年時点でのエネルギーミックスを複数のシナリオで分析しています。

主な内容:

  1. 背景と目的:
    • 2050年のカーボンニュートラル実現に向け、2040年時点でのエネルギーミックスを検討する必要性を強調しています。
    • 安全性(Safety)、安定供給(Energy Security)、経済効率性(Economic Efficiency)、環境適合性(Environment)の「S+3E」の観点から、最適なエネルギーミックスを追求しています。
  2. エネルギーモデルの概要:
    • 国際エネルギー機関(IEA)のエネルギー技術システム解析プログラム(ETSAP)で開発された「TIMESモデル」を使用し、将来のエネルギー需給構造を経済合理性の観点からシミュレーションしています。
  3. シナリオ設定:
    • BAU(Business As Usual)シナリオ: 2030年に2013年比で46%のCO₂削減を達成し、その後は現状の技術進展を前提としたケース。
    • 再エネ技術進展シナリオ: 再生可能エネルギーのコストが世界水準に収斂することを想定したケース。
    • 水素技術進展シナリオ: 輸入水素の価格が政府目標(2050年に20円/Nm³)に沿って低減することを想定したケース。
    • CCS技術進展シナリオ: 二酸化炭素回収・貯留(CCS)の貯留可能量が政府目標(2050年に2.4億トン/年)に沿って拡大することを想定したケース。
    • 3技術進展シナリオ: 再エネ、水素、CCSの各技術が同時に進展することを想定したケース。
  4. 前提条件:
    • CO₂削減目標: 2030年に2013年比で46%削減、2040年に73%削減、2050年にカーボンニュートラルを目指す。
    • 再エネ導入可能量: 環境省や経済産業省のデータに基づき、地域分布を考慮して設定。
    • 再エネコスト: 技術進展シナリオでは、2040年までに太陽光や風力のコストが世界水準に収斂することを想定。
    • 輸入水素価格: 技術進展シナリオでは、2040年に25円/Nm³、2050年に20円/Nm³まで低減することを想定。
    • CCS貯留量: 技術進展シナリオでは、2040年に1.25億トン/年、2050年に2.4億トン/年まで拡大することを想定。

この報告書は、2040年のエネルギーミックスを多角的に分析し、2050年のカーボンニュートラル達成に向けた課題と対策を検討するための重要な資料となっています。


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