出典:https://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/2024/068/068_004.pdf
1. はじめに
日本は、エネルギー資源に乏しく、エネルギー安定供給の危機を幾度も乗り越えてきました。特に1973年の石油危機以降、多角的なエネルギー政策を推進してきましたが、2011年の東日本大震災を契機にエネルギー供給の脆弱性が再び顕在化しました。このような背景を踏まえ、2022年のロシアによるウクライナ侵略や世界的なインフレーションなど、近年のエネルギー情勢の変化に対応した持続可能なエネルギー政策が求められています。本計画では、エネルギー安定供給、経済成長、そしてカーボンニュートラルの実現を同時に達成するための道筋を示します。
2. 東京電力福島第一原子力発電所事故後の歩み
総論
2011年の福島第一原子力発電所事故から10年以上が経過しましたが、その反省と教訓は未だ日本のエネルギー政策の原点であり続けています。福島の復興は東北全体、ひいては日本全体の再生に直結する課題として位置づけられています。
福島復興への取組状況
- 廃炉の進展:
- 燃料デブリの試験的取り出しが2024年に開始され、着実に進展しています。
- 汚染水対策として、凍土壁の設置により発生量が大幅に削減されました。
- 帰還困難区域の対応:
- 2023年までに特定復興再生拠点区域の避難指示が解除され、多くの住民が帰還を開始。
- 地域復興のためのインフラ整備や産業再建が進められています。
- 新産業創出:
- 福島イノベーション・コースト構想を中心に、約2,700の事業が再開。
- ロボット関連企業が約80社集積し、地域の新たな産業基盤を構築。
今後の復興計画
政府は廃炉作業を進めるだけでなく、住民の帰還を促進し、持続可能な地域社会を実現することを目指します。また、新エネルギー技術の導入を加速させ、福島を脱炭素化のモデル地域とする計画が進行中です。
3. 第6次エネルギー基本計画以降の状況変化
総論
第6次エネルギー基本計画(2021年)以降、エネルギーを取り巻く情勢は急激に変化しています。ロシアによるウクライナ侵略や中東情勢の緊迫化により、エネルギー安全保障の重要性が増しています。また、国内ではDXやGXの進展に伴い、電力需要が増加しています。
主な状況変化
- 経済安全保障:
- ロシア産エネルギーへの依存低減を目指す各国の動きが市場価格に影響。
- 日本はエネルギー供給の脆弱性を克服するため、多様な供給源の確保が急務。
- 電力需要の増加:
- データセンターや半導体工場の新設により、電力需要が増大。
- 将来的な需要増加を見越した脱炭素電源の確保が必要。
- 気候変動対応:
- 野心的な脱炭素目標を掲げつつ、現実的な政策アプローチを採用する動きが顕著。
4. エネルギー政策の基本的視点(S+3E)
総論
日本のエネルギー政策は、「安全性(Safety)」を大前提に、「エネルギー安定供給(Energy Security)」「経済効率性(Economic Efficiency)」「環境適合性(Environment)」の3Eを統合した「S+3Eの原則」に基づいて進められています。
安全性の確保
- 原子力発電所の安全性向上を最優先とし、住民の信頼回復に努めます。
- サイバー攻撃や自然災害への対策を強化し、全エネルギー源の安全性を高めます。
エネルギー安定供給
- 再生可能エネルギーや原子力発電を最大限活用し、エネルギー自給率の向上を目指します。
- 自然災害や地政学リスクに対応できるレジリエンスを強化します。
経済効率性
- 脱炭素化によるコスト上昇を最小限に抑えるため、経済合理性を重視した政策を展開。
- 国際競争力を維持するため、エネルギー価格の安定化を図ります。
環境適合性
- 温室効果ガス削減目標を達成するため、再エネ導入やCCUS技術を推進します。
- 環境負荷の低減と経済成長の両立を目指します。
5. 2040年に向けた政策の方向性
総論
エネルギー政策は、産業政策と一体化して展開されるべきです。特に、DXやGXの進展に伴い、電力需要が急増する中、再エネと原子力の両立を図ることが求められます。
主な施策
- 省エネルギーと非化石転換:
- 建築物や工場での省エネ技術導入を促進。
- 輸送分野でのEVや水素車の普及を支援。
- 脱炭素電源の拡大:
- 太陽光発電の効率化や風力発電設備の増設を推進。
- 次世代地熱発電や革新技術の投資拡大。
- 次世代エネルギー確保:
- 水素社会推進法に基づき、水素やアンモニアの供給インフラを整備。
- CCUSや合成燃料の実用化を加速。
- エネルギーシステム改革:
- スマートグリッド技術を活用し、効率的な電力供給体制を構築。
6. カーボンニュートラル実現に向けたイノベーション
総論
2050年のカーボンニュートラル達成には、革新的な技術開発が不可欠です。再生可能エネルギーのコスト低減やCCUS技術の普及、水素エネルギーの利用拡大を通じて、新たな価値創出を目指します。
主な取組
- 脱炭素化技術の研究開発を促進。
- 国際協力を通じた技術革新の共有と普及。
7. 国民各層とのコミュニケーション
主な取組
- エネルギー政策の透明性を高め、国民への分かりやすい情報提供を強化。
- 双方向的な対話を通じて、政策の信頼性を向上させます。
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