1. 株式会社ラクスの概要
株式会社ラクスは、クラウド型業務支援サービスを展開する日本の企業で、2000年11月に設立されました。主力サービスには以下のものがあります:
- 楽楽精算:クラウド型経費精算システム。
- メールディーラー:メールサポートシステム。
- 楽楽明細:電子帳票配信システム。
主な沿革
- 2000年:大阪市で設立。
- 2009年:経費精算システム「楽楽精算」を販売開始。
- 2015年:東京証券取引所マザーズ市場に上場。
- 2021年:東証市場第一部に市場変更。
規模と業績
- 売上:2023年3月期の売上高は約232億円(前年比21.8%増)。
- 従業員数:2023年時点で1,800名以上。
- 導入企業数:楽楽精算の累計導入社数は9,000社を超え、国内市場でトップクラスのシェアを誇る。
- 拠点展開:国内では東京、大阪、名古屋、福岡など全国に拠点を展開。海外ではベトナムとインドネシアに子会社を設立。
2. クラウド型経費精算システムの市場概況
国内市場
クラウド型経費精算システムは、デジタル化の推進や法改正(例:電子帳簿保存法)を背景に急成長しています。
- 市場規模:2021年度は約305.5億円、2026年度には512億円に達すると予測。
- 成長要因:
- テレワークの普及に伴う業務効率化のニーズ。
- SaaS型ソリューションの浸透。
国内主要プレイヤー
企業名 | 主力サービス | 設立年 | 売上規模(参考) | 特徴 |
---|---|---|---|---|
株式会社ラクス | 楽楽精算 | 2000年 | 232億円(2023年3月期) | シンプルな操作性と柔軟なカスタマイズ性で導入実績トップ |
株式会社コンカー | SAP Concur | 1993年 | 非公開 | 外資系大手でグローバル企業向け高機能システム |
freee株式会社 | freee会計ソフト | 2012年 | 160億円(2023年同期) | 中小企業向けクラウド会計ソフトに強み |
海外市場
海外市場では、特にアジアや北米地域で成長が著しい。
- 北米:
- SaaS型経費精算市場のリーダーはSAP ConcurやExpensify。
- リモートワークの定着が市場拡大を後押し。
- アジア(インドネシア含む):
- 経済成長とデジタル化の進展により、中小企業向け市場が拡大中。
アジア主要プレイヤー
企業名 | 主力サービス | 設立年 | 特徴 |
SAP Concur | SAP Concur | 1993年 | グローバル市場でのリーダー。多国籍企業に強み。 |
Expensify | Expensify | 2008年 | 中小企業向けの直感的なインターフェース。 |
チプタ・ピランティ・セジャトラ(CPS) | Mekari | 2015年 | インドネシア国内での業務効率化サービスを展開。ラクスが出資。 |
Khatabook | Khatabook | 2019年 | インド市場に特化。中小零細企業向けアプリ。 |
インドネシア市場の特性
- 市場成長:インドネシアはアジアの中でも特に中小企業(SME)の割合が高く、デジタル化が遅れている分、大きな成長余地があります。
- ラクスの出資:ラクスが出資したCPS(Mekariブランド)は、インドネシア国内で経費精算や人事管理システムを提供。現地企業向けに特化したサービスで市場を拡大中。
- 政府の支援:インドネシア政府は、デジタル経済の推進を重要政策として掲げており、SaaS企業にとって追い風となっています。
競合環境とラクスの戦略
- 国内市場では、競合との差別化としてシンプルな操作性と柔軟なカスタマイズ性を強調。
- 海外展開では、インドネシアやベトナムなど新興国をターゲットに現地パートナーと連携。
今後の展望
株式会社ラクスは、国内外での事業拡大を加速させると同時に、ユーザー企業の業務効率化を支援する多機能なクラウドサービスを提供し続ける見込みです。国内市場ではさらにシェアを伸ばし、海外ではアジア地域での存在感を強化することが期待されています。
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